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親知らずは抜歯すべき?抜いたほうがよい親知らずとは。

親知らずは抜歯すべき?抜いたほうがよい親知らずとは。

親知らずは生えていますか?お口の一番奥に生える歯で、前歯から数えると8番目に位置する第三大臼歯を親知らずと呼んでいます。
高校生くらいになると、生えてくるのですが、スペースのない方は、そのまま生えない場合や、半分歯肉に埋まった状態のままの方や、もともと親知らず自体がない方もいらっしゃいます。お口の中には見えていなくても、レントゲンを撮ると、親知らずが確認できることもあります。
親知らずといえば、抜歯をした方がよいというお話を聞いたことがあるかもしれません。
では、どのような親知らずは抜くべきなのでしょうか?反対に、残しておくべき親知らずは、あるのでしょうか?
今回は、親知らずの抜歯についてご説明いたします。読み終わりましたら、ご自身のお口の奥をじっくり観察してみてください。日常であまり観察することのない親知らずですが、ご自身で周囲の歯肉の状態や、歯の表面に虫歯を疑う症状がないかなど確認をしてみることが大切です。

親知らずは絶対抜くべき歯なの?

親知らずが生えていると、「親知らずがあるの!?」、「抜かないの?」と訊かれたことがあるのではないでしょうか?
親知らずといえば、「抜歯」というワードが検索でも上位に存在していますが、実際のところ、親知らずは個々のお口の状態によって抜くべきか、残していても問題ないか、異なります。

親知らずを抜くのはなぜ?

では、親知らずはどうして抜くことが多いのでしょうか?
やはり、一番奥にあることから、歯磨きがうまくいかずに虫歯になるケースや、歯周病の原因となるケース、そもそもがまっすぐに生えていないため、歯肉に炎症を起こしやすいケースなどがあります。
このように、お口の健康状態に悪影響を与える場合には、親知らずは抜歯をした方が良いと考えられています。では、具体的にどのような場合には、親知らずを抜くのかをご紹介いたします。

抜くべき親知らずの見分け方

・半分しか見えていない

親知らずがまっすぐ生えずに、横に倒れている場合や、斜めに生えていて半分歯肉がかぶさっている場合には、歯磨きが難しくなります。そのため、虫歯や歯周病になりやすい環境です。
また、親知らず周辺の衛生状態が悪いことから、智歯周囲炎といって、炎症が起きて強い腫れや痛みを起こすことがあります。
智歯周囲炎は、衛生状態の他に、体調不良の際などにも腫れや痛みをおこしやすい傾向があります。これまで、親知らずが腫れたことがある方や、体調不良の際に奥歯のあたりに違和感がある方は、現在症状がない場合でも、歯科医院を受診時には、その旨を歯科医師にお伝えしておきましょう。
経過観察とするか、抜歯が適用かを精査してもらうことが大切です。

・歯科矯正治療をお考えの場合

特に親知らずが横向きに生えている場合に多いのですが、歯が生えようとする力によって、前に生えている臼歯を押すことがあります。結果として、歯全体に力が加わることで、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。

・咬みあう歯がない時

親知らずはお口の中に上下左右で合計4本生えるのですが、場合によっては1本しかない時もあります。そのような場合には、上下で咬みあう歯の数が異なるため、親知らずによって咬みあうべき箇所の歯肉に傷をつけてしまうことがあります。
同様に、親知らずが歯列に対して、外向きに生えている場合には、歯を咬みあわせる際に、頬を噛むことで傷をつけることがあります。

・歯根嚢胞がある場合

親知らずの根っこの先に袋状の塊ができることがあります。無症状のこともありますが、レントゲンを撮ると、白い不透過像として確認することができます。
この袋状のものは、嚢胞とよばれ小手術によって摘出することが必要です。

親知らずを残すべきケースとは

上下にそろって生えた親知らずは、他の歯と同様に食べ物を噛み砕いたり、重いものを持つときなど噛みしめる際に役立ちます。そのため、上下左右にそろってまっすぐに生えている親知らずは、咬みあう場合には他の歯と同様に、清掃に気を付けて長持ちさせるようにケアすることが大切です。
実は、その他にも親知らずには使い方があります。
永久歯は、一度抜いてしまうともう生えることがありません。しかし、虫歯や歯周病で臼歯を失ってしまった際に、親知らずをその箇所に移植し使うことができるのです。症例としては、まだまだ少ない治療方法ですが、移植によりブリッジの土台とすることで、入れ歯を入れずに済んだケースなど、親知らずの移植は、有効な治療方法の1つです。

親知らずの抜歯は小顔効果がある!?

親知らずを抜くと、小顔になるという噂を聞いたことがあるかもしれません。実際のところは、どうなのでしょうか?
歯が抜けると、その真下にある骨は徐々にではありますが、やせていきます。親知らずは、下あごでいえば、一般的にエラと呼ばれる顎の骨の角のあたりに生えていることから、確かに若干ではありますが、抜歯によって顎の骨自体が小さくなることは否定できません。ですが、とても小さな変化です。
また、毎日の会話やお食事、力の噛みしめなどによって、歯を咬みあわせる際には、顔の筋肉である咀嚼筋と呼ばれる筋肉のグループが活動しています。
親知らずを抜くことで、その周囲にある咀嚼筋の働きが若干ではありますが、衰えるため、筋肉がやせてお顔周りがスッキリするかもしれません。ですが、小さな変化なので、表面的にその差異を感じるほどではないと言えます。

親知らずの抜歯は若い方が良い?

親知らずは、早いうちに抜いたほうが良いと歯科医院で言われたかもしれません。歯を抜くのに、早い遅いなんてあるのかなと思われるかもしれませんが、実は、歯を抜くには若いうちのほうが簡単で、予後もよいのです。
特に親知らずについては、抜歯の際には、麻酔を行い、術後には抗菌薬や痛み止めが処方されるのですが、通常の抜歯に比べて処置時間も長いため、痛みや腫れが強く出やすい傾向があります。そのような点で、年齢が上がってから抜歯をするより、若いうちの方が、治りがよいのは、体力的な強みもあるからと言えます。
また、年齢が上がるにつれて、親知らずは顎の骨と癒着する傾向があり、抜歯が年々難しい症例となっていきます。
癒着がひどい場合には、抜歯の処置時間も長くなるため、術後の腫れや痛みも強く出やすくなります。
以上の点から、抜歯適応と判断された場合の親知らずの抜歯は、確かに若いうちに行う方が良いと言えます。

まとめ

親知らずは、前歯から数えて8番目に位置する第三大臼歯のことです。親知らずがお口の中に見える方、まっすぐに生えている方、半分しか見えていない方、1本しか見当たらない方など、親知らずの生え方は、それぞれのお口の状況で異なっています。
確かに、虫歯や歯周病の原因となりそうな親知らずは、早めの抜歯がお勧めです。年齢が上がってから抜歯をすると、骨との癒着が進んでしまうため、抜歯の処置に時間がかかってしまいます。結果として、術後の腫れや痛みが強くなる傾向があります。
親知らずは、抜くことをお勧めするケースもありますが、上下でしっかりと咬み合わさっている場合などには、他の歯と同様に長持ちするように十分にケアをすることで、保存することも可能です。 ご自身の親知らずの状態を、歯科医院で定期的にケアを行い、抜歯が必要な場合には、適切な時期に行いましょう。

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