今回は、歯茎に痛みを感じた時の原因とその対処法についてご紹介いたします。
歯茎に痛みがあっても、様子をみても問題ない場合と、早急に歯科医院を受診すべき場合があります。まずは、ご自身でできる対処法についても知っておくことも大切です。
歯茎に痛みが起こる原因は?
歯を支える歯茎ですが、チクチクと痛みが起こったり、いつもより赤くなっていたり、腫れてブクブクした状態になることがあります。歯茎にこれらの不快な症状を起こす原因とは一体どんなものがあるでしょうか。
歯茎の病気といえば、一番心配されるのは歯周病ではないでしょうか。歯周病の状態が悪化すると、歯茎の下にある歯槽骨が溶けてしまうため、歯がぐらぐらしてきます。
そのため、食べ物を噛んだ際や、会話で歯と歯が咬みあう場合に痛みが発生します。進行がまだ初期である段階では、まだ歯がぐらぐらすることはありませんが、何となく歯茎がチクチクする、ムズムズするといったかゆみのような痛みを感じる方が多いです。
2 根尖性歯周炎
根尖性歯周炎とは、歯の根っこの先に感染が広がった状態です。原因は、虫歯や歯周病によって起こり、歯の神経は死んでしまいます。
この場合には、激しい痛みはありませんが、歯磨き時や、食事や会話で歯が咬みあう場合に、じんわりした痛みや違和感を感じます。
3 歯根破折
歯根破折は、お口の中をご自身で覗いても歯が欠けた様子がなかったとしても、小さな亀裂が入ってしまい、そこから感染が歯茎に広がった状態です。
レントゲンを撮ったり、実際に歯を抜いた後に、折れていることがわかることもあります。
4 智歯周囲炎
一番奥に生える前から数えて8番目の歯を親不知、智歯と呼びます。顎の大きさによって、お口の中でまっすぐに生えることができない方がいらっしゃいます。その場合、歯の頭を横にして、前から数えて7番目の歯を押すように、半分歯茎の下に隠れた状態で生えていることが多いです。
このようなケースでは、歯の清掃が難しいため、歯茎が炎症を起こし痛みを感じることがあります。
5 食片圧入
繊維質な物や、お肉などを食べた時に、歯と歯の隙間に食べ物が詰まることがあります。
この場合には、歯と歯の隙間が押し広げられるので、痛みというよりは違和感を生じます。歯ブラシや歯間ブラシ、糸ようじなどで除去することができます。
6 口内炎ややけど
口内炎は、体調不良や、疲れがたまっているときに経験をしたことがあるのではないでしょうか?特にアフタ性の口内炎と言われるものでは、口内炎の真ん中の部分がえぐれたような形状になるため、痛みが強く現れます。
口内炎は、頬の内側や、舌などにできるイメージが強いかもしれませんが、歯茎にもできます。熱いものを食べた際のやけどにも注意が必要です。
歯茎がやけどした場合には、ヒリヒリとした痛みが生じます。
7 感染症
歯茎に痛みを感じる病気として、歯周病についてはすでに説明いたしました。歯周病も感染症の1つです。
歯周病よりは患者数は少ないですが、お口の中に白いべっとりしたものがついている場合には、カンジタ菌の感染が疑われます。
この場合には、チクチクしたような痛みを症状とすることが多いです。その他にも、扁平苔癬といって、こちらは感染症ではなく自己免疫疾患ですが、同様に白いレース状の白斑が現れることがあり、ヒリヒリとした痛みを感じることがあります。
歯茎が痛い時のセルフケア
歯茎に痛みを生じた時、ご自宅でできることについてご紹介します。・刺激のある食べ物や飲み物を避ける
お口の中に痛みがある状態で、刺激物を避けるのは自然なことで、当然のように行っていることと思います。
注意すべきは、キムチなど辛味の強いものや、カレーやエスニック料理など香辛料が豊富な物、その他に、かんきつ類などフルーツにも注意が必要です。オレンジジュースやグレープフルーツジュースも口内炎などの痛みが強い時には、刺激になるのでご注意ください。
・口腔内を清潔に保つ
歯茎に痛みがあると、歯ブラシをするとぶつかりそうで心配になるかもしれません。
しかし、お口の中に菌が多くなると、炎症もつよくなり、より感染しやすい状態です。お口の中は、いつもと変わらずに清潔に保つことが大切です。
アルコールなどが添加されたマウスウォッシュなどは、刺激になることがあるので、ご注意ください。
・市販の軟膏を塗布する
ドラッグストアには、口内炎用の軟膏やパッチが販売されています。ご家庭に常備していてもいいかもしれません。
夜に痛みがあって、気になって眠れない時などは、ひとまず市販の軟膏を塗って様子を見てみましょう。
塗る場合には、一度うがいをしてから、ティッシュなどで唾液をオフし清潔な手や綿棒などでかゆみや痛みがある部分に塗布してみましょう。
せっかく付けた軟膏が取れてしまうので、その後、30分程度は飲食を行わない方がよいでしょう。
歯科医院を受診すべき歯茎の痛みとは
歯茎の痛みがあった場合には、普段なかなか歯科医院に行かない方でも、定期検診を兼ねて歯科医院を受診してみましょう。
先に、歯茎に痛みをおこす原因を7つ程ご紹介しましたが、いずれも歯科医院での治療が有効です。
また、歯根破折や智歯周囲炎の場合には、感染源となる破折した歯や、埋伏して生えている親知らずを抜くことが根本的な治療となります。
歯茎が痛いだけなのに、なぜ歯を抜くの!?と驚かれるかもしれませんが、感染源となる弱った歯を取り除いたり、清掃状態の悪い歯を抜いてしまうことでお口の衛生状態を向上することができます。
食片圧入についても、歯科医院での精査が大切です。歯周病により歯が動いているケースや、かぶせ物の不適合など治療が必要なケースがあります。
口内炎ややけどは、数日で痛みが治まる場合には、通院の必要がないかもしれませんが、食生活に気を配り、バランスの良い食事や睡眠を十分にとりましょう。
この場合には、お口の中の状態を写真で記録し、スワブといって綿棒のようなもので歯茎をこすり、菌の培養を行い、菌の種類を確定します。
その他に、血液検査を行う場合もあります。口腔外科に行くとなると、敷居が高いような、大きな病気になってしまった感じがしますが、カンジタ症や扁平苔癬の治療はすでに多くの症例が行われているものですので、安心して受診をしましょう。
まとめ
歯茎の痛みといえば、歯周病のイメージが強いのではないでしょうか。歯周病の他にも、根尖性歯周炎や、歯根破折、智歯周囲炎といった歯に原因がある場合もあります。その他に、口内炎ややけどといった、食生活の乱れや睡眠不足など生活に関連する原因も考えられます。