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虫歯は虫歯菌による感染症の1つです。虫歯菌を減らす対策とは?

虫歯は虫歯菌による感染症の1つです。虫歯菌を減らす対策とは?

虫歯は、感染症であることは、すでに、ご存知の方も多いことと思います。特に、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、虫歯菌は存在しないので、虫歯菌に感染しないことが大切です。しかし、日常の中で、親の唾液などを介して徐々に感染してしまうので、虫歯菌を減少させて、虫歯が起こりにくい環境を維持することが大切になってきます。

虫歯の原因となる虫歯菌とはどんな菌?

お口の中には数多くの細菌が生存しています。すべての細菌が、虫歯や歯周病といった悪い作用をするわけではありません。お口の中に存在する細菌は300~400種類程度いると言われています。

その中でも、虫歯菌と呼ばれるのは、「ミュータンス菌」と「ラクトバチラス菌」と呼ばれる菌の種類です。ミュータンス菌は、食事の食べかすなどを餌に、酸を産生することで、歯質を溶かして虫歯を作っていきます。

ラクトバチラス菌は、食べ物や飲み物の中にも存在し、善玉菌と呼ばれる乳酸菌の中にも存在する菌の種族です。

虫歯菌の検査方法

虫歯予防に積極的な歯科院では、虫歯菌の活動状況を検査することができます。顕微鏡で見せてくれることもありますが、映るすべての菌が悪い菌ではないため、たくさんの菌がうじゃうじゃと動いていても、過度に心配する必要はありません。

虫歯菌の活動性の評価として効果的なのが、う蝕活動性試験(カリエス・リスク・テスト)と呼ばれるものです。これは、今後、虫歯が発生しやすいか、今ある虫歯が進行するかといった可能性を予測する検査で、虫歯菌を減らすもので歯ありませんが、ご自身の状態の理解やモチベーションにとても効果的です。痛みのない検査で、唾液や歯についたプラークを培養し、後日結果を歯科医院で教えてもらうことができます。

虫歯菌の感染は除去できる?

う蝕活動性試験で、虫歯菌の活動が活発であり、虫歯のリスクが高いことがわかったとします。しかし、残念ながら、現在の歯科医療では一度感染した虫歯菌をすべて除去する方法はまだ確立されていません。そのため、歯磨きや定期的なクリーニングにより、感染した虫歯菌が住みにくい環境を作り、数を減少させ、活動を押さえる方法が最適です。完全に虫歯菌をお口の中から除去することはできないので、ミュータンス菌やラクトバチラス菌をコントロールし、口腔内の環境を整えることが虫歯対策には重要となっています。

では、虫歯菌のコントロールに適した方法についてご説明いたします。

虫歯菌コントロールのためにできること、すべきこと

1・歯ブラシで丁寧に歯を磨く

仕事や家事や育児、勉強など、様々な理由で忙しいと、歯磨きも不十分になりがちです。しかし、できるだけ毎食後歯を磨く習慣を身に着けましょう。もしも、外出先で歯を磨けないといったことがあっても、帰宅後に就寝前に、歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを使って念入りに歯を1度磨くだけでも十分に効果的です。
歯ブラシだけでは、歯と歯の隙間や、ブリッジの下など磨きにくい箇所があります。デンタルフロスや歯間ブラシは、一般のドラッグストアにも多く販売していますし、使用方法が不慣れな場合には歯科医院を受診した際に、歯科医師や歯科衛生士に使い方を教えてもらうことも大切です。
歯磨き後には、デンタルリンスを行い、最近の増殖を防ぐ口腔環境に保つことも効果的です。

2・歯磨きのタイミング

歯磨きは、毎食後に行うとより効果的であることはご説明いたしました。しかし、毎食後に行うことが難しい場合には、忘れないでいただきたいのは寝る前の歯ブラシです。寝ている際には、お口の中は唾液の量が減少するため、お口が渇いてしまい、より虫歯ができやすい環境となっています。寝る前には、歯磨きは必ず忘れずに行いましょう。

3・定期的なクリーニング

虫歯菌の住処であるプラークや歯石の除去に効果的なのは、歯科医院で行うPMTCと呼ばれるクリーニングです。また、歯石は、日常の歯ブラシだけではとることができません。定期的に歯科医院を受診し、歯科医師や歯科衛生士により、超音波によって歯石を除去してもらうことが大切です。
定期的なクリーニングの実施により、ご自身の歯磨きの際に、磨き残しやすい箇所の指摘や、歯磨き方法の指導を受けることで、より効果的に歯磨きをできるようになり、虫歯菌の生育しにくい環境を維持することができます。

4・フッ素配合の歯磨き粉やジェルの使用

ドラッグストアや歯科医院の受付では、フッ素配合の歯磨き粉やジェルの販売が行われています。特に、フッ素配合の歯磨き粉では、毎日の使用により、虫歯菌によって作り出された酸によって溶けてしまった歯の表面を再石灰化する作用があります。また、近年販売され、使用が増加しているフッ素のジェルは、歯磨き後に歯の表面に適量を塗り、30分程度飲食やうがいをせずに放置します。高濃度のフッ素を歯の表面から接種することができ、虫歯菌によって溶けてしまった歯質の強化に最適です。
歯磨き粉や、フッ素のジェルは様々な濃度やフレーバーのものが販売されています。パッケージ裏面の使用法をよく読み、容量や用法を守って使用しましょう。

5・忙しい時の最終手段 キシリトールガム

会議が重なっていて、歯を磨くタイミングがない!!といったピンチの際には、キシリトール配合のガムも効果的です。まずは、ガムの作用により、歯についた食べかすを、取り除くことや、唾液の分泌を促すことができます。また、キシリトールとは、天然の甘味料でお口の中で酸を作りません。また、酸を中和する作用もあるため、虫歯菌であるミュータンス菌によって作り出された酸を中和し、歯が溶けるのを防ぐ作用があります。

6・自費診療の3DS除菌

3DS治療とは「Dental Drug Delivery System」の略です。専用のマウスピース内に薬剤を注入し、一定時間装着することで、虫歯菌を除菌することができます。残念ながら、まだ保険適応となっていないため、実施している歯科医院も限られています。自費診療の範囲ですので、歯科医院によって値段も異なりますが、3万円程度を想定すればよいでしょう。

気をつけたい家族感染

赤ちゃんは虫歯菌を持たずにうまれてくることは、先にお伝えしました。
では、虫歯菌を感染させないためにはどのようなことができるでしょうか。
特に、赤ちゃんについて説明いたしますが、歯科では生後1歳半から3歳前後までの期間を「感染の窓」といいます。この時期は、乳歯がすべて生えそろう時期です。乳歯に虫歯菌がついても、どうせ生え変わるから・・と、かなり昔の常識では、考えていたかもしれません。しかし、この時期に、虫歯菌に感染した子は、感染していない子に比べて虫歯菌の定着率が高く、生涯にわたって虫歯になりやすい傾向が強くなることがわかっています。
親子でのスプーンやお箸の共有は、避けることが大切です。

まとめ

虫歯は、感染症であり、虫歯菌として「ミュータンス菌」と「ラクトバチラス菌」と呼ばれる菌が有名です。一度、虫歯菌に感染してしまうと、完全に除去することはできません。虫歯菌は、感染しないこと、感染した場合には、コントロールすることが大切です。虫歯菌自体を減少させることや、虫歯菌が活動しにくいお口の環境を作ることで、虫歯が起こりにくい環境を維持することが大切になってきます。ご自身でできるホームケアとともに、歯科医院で行うプロフェッショナルケアを併用して、虫歯菌対策を行っていきましょう。

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